イタリア・ベネチア旅行記(2)ー愛を語るならこの街でー

イタリア

ローマとフィレンツェがとてもゴミゴミとした都会であったのに対して、ベネチアにいる人々は明らかにバカンスに来ている装いをしていた。
大きなサングラスを頭に乗せて橋の欄干に身を委ねながらカメラに微笑む若く美しい白人女性は鮮やかなペパーミントグリーンのノースリーブの袖から白く長い腕で美しいブロンドにたなびく長い髪に触れてポーズを決めていた。
その女性にシャッターを向けている恋人と思われる男性は、顎に無精髭の生えた長身で、写真を撮り終わると彼女に近づき、彼女を引き寄せて一言二言彼女の耳元で何か囁いた後、頬を寄せ合い水路に向きを変えてまた何かしら言葉を交わしながら見つめあい、軽く唇を重ねていた。

彼らが見つめ合う、橋の下を流れるモスグリーンの川面は真夏の太陽に照らされて、あたかも仮面部舞踏会のマスクのようにキラキラと輝いていて、行き交うボートの船長は眩しそうに左手でその光を遮っていた。橋の対岸には、おひねりの銀貨や金貨が、投げ込まれたギターケースの後ろで手慣れた老練の歌い手が、伸びやかなカンツォーネをまるで愛しい人の頬を撫でるように優しく、情熱的に奏でていて、その愛と悲しみに満ちた美声に誰しもが酔いしれていた。

ベネチアにいる人々は、皆一様にそれぞれ夏の格好をして楽しんでいた。
誰もがただ短い真夏のバカンスを楽しんでいるように見えた。
ローマやフィレンツェでは生憎、雨模様であったが、幸いここベネチアでは青空が広がっていた。
僕は駅舎に近い安そうなホテルを探して一泊したいと伝えて、先払いの料金をユーロで支払うと、ホテルに荷物を置いて街にでた。

人の多さに辟易したがそれでもベネチアは充分に開放的であった。
街を移動する手段は徒歩か黒と赤に彩られてローマ風の細工が施された水上を走るゴンドラだ。ゴンドラには腕の太い漕ぎ手の男性が櫂を片手にカンツォーネを歌いながら狭い水路を進んでいく。

他のゴンドラと行き交うときには互いにウィンクしたり、片手を大袈裟に広げたり、櫂を軽くコツンとぶつけてたりして仕事をそして、人生を楽しんでいるように見えた。

僕は、徒歩で市街地を歩く事にした。時折、街中にあるピザショップが芳しい匂いを漂わせていて、目にも鮮やかな巨大なピザを店先に並べて切り売りをしていた。
フィレンツェの街は迷路のように入り組んでいて進行方向を水路に遮られたり、誰もいない袋小路に迷い込んだりした。
その袋小路に迷い込むと焦ったが、迷いこむ度に毎回違う景色を僕に披露していて、僕はその度に感嘆の声をあげた。ベネチアの街はどこを切りとってもロマンティックな街並みとしか表現出来なかった。どの風景も絵になったし、大抵の女性ならば好意を抱くに違いない水路と可愛らしい建物との組み合わせが創りだす世界は、甘美で魅惑的で、女性達をウットリとさせるに十分な魔力を秘めているように思えた。

一体どれくらいのカップル達がこの場所で愛を語りあったのだろうか。(3)に続く

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